小論文・作文の対策!
小論文・作文では、一般的な学力検査ではわからない、受験生の「人間性と学力」を小論文・作文を実施することで総合的に判断するために実施されます。
「人間性」では、文章に表れた人柄、入学に対する熱意など、「学力」では、考える力や意見をまとめる力を小論文・作文で評価されます。
小論文・作文の試験を受けるにあたって、もっとも大切なことは、「自分の思いや意見を読み手に正確に伝える」ことです。本書を参考にして、どのように文章を展開していくかのコツをつかんで、しっかり対策をしていきましょう!
小論文と作文の違いについて
小論文も作文も、文章で自分の考えを読み手に伝えるという点は同じですが、それぞれ求められる表現に違いがあります。まずは、それぞれの違いを理解しておきましょう。
『小論文』・・・自分の考えや意見を伝える
与えられた課題やテーマに対する自分の意見をまとめて、筋道をたてて読み手に伝えていきます。
よって小論文では、どれだけものごとを論理的に考え、それを説得力のある文章にして、読み手に伝えることができるのかを表現していくことが求められます。
『作文』・・・自分の思いを伝える
与えられた課題に対する自分の感想や考え方をまとめて、生き方に対する前向きな姿勢や意欲•関心を読み手に伝えていきます。
よって作文では、状況をイキイキと描写する文章力と、人柄や感受性などの人間性を表現していくことが求められています。
作文の書き方の手順
作文では、日常生活や日頃の学習の中から素材を集めて、感想や考えをまとめる力が求められますので、自分が伝えたいことを、わかりやすくイキイキとした文章で表現することが大切です。
作文で出題されるテーマとしては、下記のような内容があります。
□これまでの体験や経験に関する内容
「心に残っていること」「いま夢中になっていること」など
□将来に関する内容
「どのような高校生活を送りたいか」など
□一般的なことがらなどに関する内容
「時間について」「敬語について」「携帯電話について」
このようなテーマに対する作文から、おもに下記の基準で評価されます。
◎テーマに対する関心の高さ
◎意見や考えを伝えようとする気持ちの強さ
◎使いこなせる言葉や表現力の多さ
◎文章を構成していく展開のうまさ
実際に作文を書くときは、次の4つの手順をマスターしておくとよいでしょう。
①「主題」を考える
作文の主題とは、読み手にもっとも伝えたいことをいいます。
まずテーマに合わせて、どのような内容を主題として文章を展開していくかを考えることが大切です。
多くのことを伝えようとせず、伝えたい主題は必ず1つだけに絞りましょう。
②「素材」を選ぶ
素材とは、主題に説得力をもたせるための具体的な材料のことをいいます。
たとえば「あなたの夢はなんですか?」というテーマに対して、「野球選手になりたい」という主題で書く場合、なぜ野球選手になりたいのか、どういう野球選手(目指す選手名など)になりたいのかなどを、自分の体験したことや、感動したことを通して、読み手に伝える必要があります。
つまり素材とは、自分が体験した出来事ですので、書き方としては、「いつ」「どこで」「なにを」「なぜ」「だれが」ということを意識して、主題についてイキイキと伝えることが重要です。
③文章の構成を考える
主題を考える→素材を選ぶというステップの次は、文章の構成を考えます。
文章の構成を考えるときは「起承転結(きしょうてんけつ)」の考え方が基本となります。
『起』・・・文章の書き出し
文章の書き出し部分は、読み手の興味を引き付けるように、文章の表現に工夫をすることが大切です。少しカッコつけすぎかなというくらいの書き出し文で丁度よいものです。
『承』・・・転につなぐ役割
承では、おもに事実を記述します。起で記述した内容をうけて、つぎの転までのつなぎの部分なので、ここであまり盛り上げすぎないようにすることが大切です。
『転』・・・作文のヤマ場
作文の中で一番盛り上げる部分ですので、転の描写には力を入れましょう。
この転で、いかに読み手に「主題」をイキイキと伝えられるかが、作文全体の良し悪しを左右する一番大切な箇所となります。
『結』・・・最後の結び
主題をもう一度確認するだけでなく、読み手に強い印象を与え、余韻を残せるように文章をまとめましょう。
高校入試では、時間が限られていますが、あわてて書き始めずに、まず①〜③のステップをじっくり考えてから書き始めることが大切です。もちろん字は1字1字ていねいに書きましょう。
④全体の確認
ひととおり書き終わったら、しっかりと内容を読み直し、下記の点を確認しましょう。
□ 文字は、ていねいにバランスよく書いているか?
□ 誤字、脱字はないか?
□ 句読点、括弧などの原稿用紙のマスの使い方は正しいか?
□ 読点を打つ位置に誤りがないか?
□ 語尾の常体(...だ。...である。)、敬体(...です。...ます。)を混用していないか?
どんなに内容がよくても、単純なミスは減点対象となりますので、あせらずしっかり見直しましょう。
小論文の書き方の手順
小論文では、論理的にものごとを考える力と、その考えや意見を説得力のある文章にまとめる力が求められますので、出題されたテーマを自分なりの視点から考えることや、日常の生活や経験と関連させて論理的に考えることが大切です。
小論文で出題されるテーマとしては、下記のようなものがあります。
□身の回りや学校生活に関するもの
「自然環境について」「ボランティア活動について」「携帯電話について」など
□社会的な問題に関する内容
「科学技術の進歩をどう考えるか」「国際化についてどう考えるか」など
小論文は、作文と比べて、抽象的で社会的な問題を扱う出題が多く、出題の形態にも違いがあります。
実際に小論文を書くときの手順について確認し、つかんでおきましょう。
基本的には、①提案する意見を考える⇨②説得力のある理由を考える⇨③文章の構成を考える、といったステップで書いていきます。
①提案する意見を考える
まずは出題されたテーマは何を問題にしているのか、その問題に対する意見はどうかを考えます。
このステップは、作文での「①主題を考える」と同じステップにあたります。
たとえば「科学技術の進歩をどう考えるか」というテーマに対し、「必要なことだ」といった肯定的な立場をとるのか、「進歩は不必要だ」といった否定的な立場をとるのかを、まず考えることが求められます。
小論文では、まずテーマに対する自分の立場を明らかにし、自分の意見をしっかりと主張することが大切です。
提案する意見は必ずひとつにし、あいまいな主張にならないようにしましょう。
またテーマに対して肯定的な立場をとるか、否定的な立場をとるかは、小論文では、どちらが正解というわけではなく、どちらの立場であっても評価には影響ありません。
どちらの立場で主張したほうがいいのかということを考えるのではなく、どちらの立場で主張したほうが、より相手を説得できる文章を自分が書くことができるかといった視点から考えることが大切です。
②説得力のある理由を考える
出題されたテーマに対する自分の意見がまとまったら、その意見に説得力をもたせるための理由が必要になります。理由を考えるときには、かならず具体的な事実や出来事をもとにして考えましょう。
たとえば、「科学技術の進歩は必要だ」と主張する場合には、「科学技術の進歩によって人々の生活が豊かになったから」という理由では、「どのような人々にとって豊かになったのか?」「具体的に豊かになったものは何か?」などの具体性に欠けてしまいます。
「インターネットでホームページから欲しい情報が手に入るようになり便利になった」というように、より具体的に生活に関連した身近なことがらをあげたほうが、より説得力のある文章になります。
この意見や提案の理由は、小論文において最も重要な要素です。逆にいえば、読み手が理由に納得できない、具体的なイメージがわかないとなると、小論文全体の説得力もなくなってしまいます。
まずは出題されたテーマに対する自分の「意見」と、それを裏づける「理由」をしっかりと分けて考えましょう。
その上で、その理由が、提案する意見に対して論理的、具体的で筋が通っているかを確認しましょう。
③文章の構成を考える
提案する「意見」と、それを裏づける「理由」を考えたら、次は、それを論理的で筋の通った文章にする必要が有ります。小論文においての論理的な文章の基本的な構成は、「序論」「本論」「結論」の流れとなります。
『序論』・・・小論文の導入部
「①提案する意見を考える」で決めたテーマに対する自分の意見を提示するパートです。
「私は、こう考える」といったように、ここではあまり内容をふくらませすぎないように、簡潔に
テーマに対する自分の意見の立場や考えを明らかにしましょう。
『本論』・・・意見に対する理由
「序論」で自分の意見を提案したら、「②説得力のある理由を考える」で考えた自分の意見に対する
理由を書きます。
この理由に説得力がないと、読み手が納得してくれなくなりますので、この「本論」の内容が小論文
の良し悪しを左右する重要な部分です。
『結論』・・・小論文のまとめ
最後にもう一度、自分の意見をまとめます。
「序論」「本論」で意見と説得力のある理由が示されていれば、この結論の文章に、読み手は納得してくれることになります。
上記の流れで、「序論」「本論」「結論」の各パートの役割をしっかりと意識した上で、小論文を書くことで、論理的かつ説得力のある文章に仕上がります。
小論文は、とっつきにくいところもありますが、過去の出題例や、形式を調べ、練習していけば説得力のある文章が書けるようになります。
書き上げた文章を、家族や先生に読んでもらい、感想を聞きながら、なんども文章を読み直して練習していきましょう。
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